介護士の肉体的な負担をサポートする介護ロボットスーツHALについて紹介します。この記事では、HALとはどんなロボットなのか?また、介護分野での普及の現状について調べてみました。
HALとは?
HALはHybrid Assistive Limbの略称で、筑波大学発のベンチャー企業であるサイバーダイン社が開発・製造する装着型のロボットです。身体につけて使用するスーツタイプになります。
体の不自由な人の動きを補佐したり、介護時にいつもよりも大きな力を出せるようにアシストしてくれます。
HALの動作原理は、まず人が「歩きたい」と考えるところから始まります。
すると脳から神経を通じて筋肉に信号が送られます。
脳から送られた信号は、超微細な信号として皮膚表面から漏れ出しており、HALはこの生体電位信号を読み取ってどのような動きをしようとしているのか認識することが出来ます。
HALは認識した動作に合わせて動いてくれるので、人は思い通りの動きをすることができます。
HALのすごいところはこれにとどまらず、HALを使って歩けたという感覚を脳へフィードバックします。
すると脳は歩くために必要な信号の出し方を学習することができます。
そして足の不自由な人がHALなしで歩くことができるようになるための最初の一歩になるのです。
タイプ別のロボットスーツ
HALには下肢タイプ、短関節の自立支援用、腰の支援用のスーツがあります。
体の不自由な人の補助をする医療用、介護を行う人の腰への負担を軽減する介護用、建設現場の作業員を支援する作業支援用とタイプが分かれています。
また、災害対策用のロボットスーツHALも開発されており、今後も様々なシーンでの活躍が期待されています。
2016年には厚生労働省が歩行リハビリ訓練用のロボットスーツとしてHAL医療用下肢タイプの保険適用を決定しました。
介護現場での普及は?
その一方で、介護現場でのロボット導入がなかなか進まないと言う実情があります。
その理由は、ロボットスーツが高額すぎると言う費用面での問題と、実際に使用している現場のギャップであると言われています。
人を抱えるときなどに確かにパワースーツは効力を発揮します。ですが介護の現場ではその動作だけを行っているのではなく、すぐに次の仕事に取り掛からなくてはなりません。
装着や取り外しにも時間がかかるため、介護の仕事1日を通じて考えるとどうしても使い勝手が悪くなってしまいます。
ロボットスーツの機能は進化していますが、現場のニーズや運用上の課題を解決できるかどうかが、今後の普及の鍵だと見られています。
まとめ
HALのような介護医療現場での介護ロボット活用はますます求められていきますので、今後の開発、改良の促進が期待されています。