世界各国で本格的な普及が見込まれているロボット。かつては工場などで活躍する生産用ロボットが主流でしたが、現在では人間の形に近いヒューマノイド型ロボットが続々と登場してきています。
日本でのロボット導入はまだまだ進んでいないと感じられがちですが、世界と比較してみると一概には言えない状況が見えてきます。
また、近年深刻化する人手不足を解消するために、ロボットや移民によって労働人口を維持しようとする動きもあります。そこで今回は、移民政策とロボットという側面についての問題を詳しく解説していきます。
世界各国で異なるロボットへのイメージ
まずはじめに、ロボットという言葉を聞いて皆さんはどのようなイメージを持つでしょうか。
日本に比べてアメリカはロボットやITに関連する産業が進んでいるイメージがあります。とりわけシリコンバレーにはAIやロボットに関する先進的な企業が集中しています。
アメリカなどではショッピングモールなどに警備ロボットが導入されており、日本に比べて圧倒的に生活に密着したサービスになりつつあります。
そのため、ロボットは人間社会に抵抗なく受け入れられていると思われがちですが、実は多くのアメリカ人にとってロボットは不気味な存在として認知されているようです。
その大きな理由として、アメリカ人にとってロボットとは「ターミネーター」や「ロボコップ」などの映画のイメージが大きいからとされています。どこか無機質で感情のない機械というものを連想する人が多い傾向にあるようです。
日本人にとってのロボット観
一方で、日本人のロボット観は欧米のそれとはまったく異なっているようです。
日本人にとってロボットと聞くと、「鉄腕アトム」や「ドラえもん」、「マジンガーZ」といったような、アニメーションのキャラクターを連想する人が圧倒的に多い傾向にあります。
鉄腕アトムは一定の年齢層の日本人なら誰もが知っているキャラクターであり、困難に立ち向かうヒーロー。長年にわたって愛されてきた存在です。
また、ドラえもんに至っては一般の家庭に家族の一員として受け入れられ、高度な感情を持つロボットとして描かれています。
どちらも人間にとっての敵ではなく、人間と共存する未来が描かれていることが大きな特徴といえるでしょう。日本ではこうしたキャラクターへの親近感がロボットへ打ち解ける土壌になっているようです。
日本で高齢者のロボットへの抵抗感が少ないのは、こうした背景によるものではないかと海外メディアでも指摘されています。
移民には強い抵抗感のある日本人
ロボットについては比較的寛容で抵抗が少ない日本人ですが、一方で移民政策については強い抵抗感を抱く人が多いようです。
少子高齢化への対策として欧米では移民政策がとられていますが、日本ではそのような動きは極めて少ないです。
実際には日本でも東南アジア諸国の人材を介護士として登用している例はありますが、その数は決して多いとはいえません。というのも、人材に求める語学力のハードルが高すぎるのです。
現実に、日本の介護施設で外国人が働いているという認識はほとんどの人が持っていないと思います。
それでは、なぜ日本では移民を受け入れ難い傾向にあるのでしょうか。考えられるポイントとしては、大きく分けて2つの理由があります。
1.島国であること
ひとつは、日本はもともと島国であるということです。欧米諸国は陸続きで国が連なっていることもあり、長い歴史のなかで人間の往来が生まれていました。しかし、日本の場合は島がひとつの国として存在していることもあり、独自の文化を遂げてきた歴史があります。
江戸時代に行われた鎖国は、海外からの文化的な侵略から自国を守る目的もあったといえるでしょう。日本のような国は世界を見ても稀な存在で、自国の文化を大切にし仲間意識が強い傾向にあります。
そのため、海外からの移民を受け入れる土壌や人々の意識に強い抵抗を示す人が多い傾向にあります。
3.仕事のクオリティ
2つ目のポイントとしては、サービス業に求めるレベルの高さがあります。
介護士はもちろんですが、日本において一般的なサービス業に求めるクオリティは非常に高く、海外とは比べ物にならないほど成熟しています。
しかし、高いクオリティのサービスを提供するにあたって大前提となるのは語学力です。基本的なコミュニケーションが取れないと仕事ができないと判断されてしまい、正社員はおろかアルバイトですら雇ってもらえないこともあります。
日本人が求めるサービスレベルの高さも移民を受け入れづらい大きな理由となっているようです。
しかし一方で、アメリカでは介護従事者のほとんどが移民だということです。ひっ迫する介護者不足への対策へのアプローチとして、日本とアメリカでは全く政策や考え方が異なっているようです。
高齢者に抵抗なく受け入れられるロボットたち
日本では移民による介護士は非常に稀な存在ですが、一方で介護施設ではロボットによる介護の仕組みが積極的に進められている現実もあります。
当サイトでも過去に何度か紹介していますが、コミュニケーションロボットやリハビリロボットなど、高齢者に不安がられることもなく受け入れられています。


むしろコミュニケーションが難しい外国人に介護してもらうことのほうが不安を感じてしまう人がほとんどなのではないでしょうか。
ロボットとはコミュニケーションが難しいケースもありますが、そもそも文化や考え方が異なる外国人よりは安心できるという人も少なくありません。
いざとなったら自分で制御ができるロボットのほうがリスクも少なく、利用者にとっても安心なのかもしれません。
それだけテクノロジーへの信頼が厚く、ロボットという存在の日常生活への融和に抵抗がないのが日本人であると考えることもできます。
たしかにこれはアニメや漫画の影響が大きいのかも知れません。
猫型ロボットであるドラえもんと違和感なく日常生活を送り友情をはぐくむストーリーに慣れ親しんで来た私たちにとって、ロボットのいる暮らしは輝かしい「未来の夢」や「憧れ」であり、決して破壊的だったり拒絶すべきものという認識はないものです。
日本でコミュニケーションロボットの「Pepper」が生まれたのも、そのような文化の背景があるのが大きいといえるかもしれません。
これまで「ドラえもん」の世界観は非現実的で実現が難しい夢物語と考えられてきましたが、コミュニケーションロボットの誕生によってあながち非現実的なものとはいえない存在になりつつあります。
さすがに完璧なAIをもったドラえもんのようなロボットが誕生するのはまだ時間がかかりそうですが、少なくとも自宅の中にロボットが存在する未来はそう遠くないうちにやってくるのではないでしょうか。
移民よりもロボットを受け入れる日本独特の文化
今回紹介してきたように、移民よりもロボットを受け入れるのは日本独特の文化であるといえそうです。
どちらが良い・悪いというものではなく、そもそも国の文化や風習はさまざまな歴史的背景があった発展を遂げてきたものです。日本にはアニメーションというものがあり、それがロボットの発展に大きく貢献していることは事実といえます。
まとめ
そのような理由もあり、日本では今後もますます介護分野へのロボット導入が進んでいくものと思われます。