介護ロボットの問題点5つ!コストだけではなかった普及への壁とは?

ここ数年の間に事業者間での開発競争が高まっているロボット事業。さまざまな分野に活用できるとあって、メーカー各社は革新的なロボット開発に着目しています。

その中でも現在、ロボットの開発において大きな期待が寄せられているのが介護分野におけるロボットです。高齢化にともなって介護業界では深刻な人手不足に直面しており、その課題解決の糸口になるのではないかといわれているのが介護ロボットなのです。

しかし、そこにはいくつかの問題点があります。

介護ロボットが高額すぎる

まず1つ目の問題点は、非常に高価なロボットが多いということです。

もちろん、新しい産業分野のものですから、開発に非常にお金がかかるのは仕方のないことであり、今後普及が進んでいけば価格も大幅に安くなるでしょう。しかし、今のところは決して手軽な価格とはいえないものが多いのが現状です。

これについては、実用化されているロボットのなかにはレンタル・リースなどの方法で、導入費用が安くなるように工夫している企業が多いです。しかし、それでもまだ費用総額は高額になるケースが多いようです。

この問題を解決すべく、国や自治体などではロボットを介護事業で活用するための導入補助金を提供しているところもあります。市場原理だけでは上手く行かない場合には、やはり行政の支援が重要になります。

しかしながら、導入補助金を提供しはじめた自治体のなかには、申請数が予想より非常に多く、予算不足に陥ってしまったこともあるようです。これは介護業界においてロボット活用の需要が非常に高いという裏返しでもありますが、その期待に対して国や自治体の予算が追いついていないのが現状のようです。

当然のことながら国や自治体の財源も限られており、高額な価格設定をしているものを漫然と税金で補助してよいのか、という問題もあります。適正な補助はどの程度なのかを見極めるうえでも問題点があると言えそうです。

また、介護に関わる仕事をする労働者の収入が低いことも問題視されており、それが原因で人材が集まってこないという側面もあります。たしかに介護ロボットは人手不足を解消する切り札になるとされていますが、それ以前に労働者の待遇改善を望む声が大きいのもまた事実としてあります。

介護ロボットに習熟するための時間・コストの問題

2つ目の問題点として挙げられるのは、介護ロボットを誰にでも簡単に扱える、とまでは言えないことでしょう。現在実用化されているロボットのなかにも、最初は専門のスタッフの指導を受けながら使うことが求められていることが多いです。

また、リハビリを指導する側の訓練が必要になるということは、介護・リハビリ支援の現場で、それを習熟するための時間やコストが必要になってしまい、現場の負担になってしまうということです。

iPhoneなどのように、直感的な操作で触れば動かし方が分かるという機器は理想的です。実際にiPhoneやiPadなどはその分かりやすさもあって爆発的に普及したことを考えると、使えるようになるまでに手間がかかってしまうものは、介護ロボットの本格的な普及までにはハードルが高いといえるでしょう。

介護現場では歓迎されていない?

介護ロボットにおける3つ目の問題点としては、現場の声として「1つの作業に特化しているもの」の不便さという点が挙げられているようです。

例えば、介護スタッフの足腰をサポートするロボット(ウエアラブルロボット、またはロボットスーツなどと言われるもの)は実用化が進んでいますが、ロボット自体が重く大きなものが多いため、日常的に身に着けたまま作業をすることは難しいようです。

そのため、負担の大きい作業をする際にだけロボットを身につけ、終ったら外すという作業が余計に増えてしまいます。手間や時間をトータルで考えると、ロボットスーツはそれほど便利とは言えないという現場の不満はあるようです。

特定の作業に非常に役立つというのはたしかに画期的なことではあるのですが、多種多様な業務をこなす現場のスタッフにとっては、それだけでは便利とは限らないという難しい問題のようです。

介護現場での過酷な作業環境を考慮すると、やはり身につけていることを忘れるほど自然で軽いロボットが理想的な姿といえます。

人件費と介護ロボットの導入費用の考え方

介護ロボットは1台あたり数十万円、数百万円という単価のものもあります。きわめて高額な商品であり、いざ導入しようとしても簡単には決断できない施設がほとんどでしょう。

このような高額な価格を目にすると、介護に関わっている労働者の中には「ロボットを導入する余裕があるなら私たちの賃金を上げてほしい」と考える方も多いはずです。たしかに従業員の給与を一切上げることなく、ロボットを何十万円、何百万円とコストをかけてしまっているとバランスがとれている経営とはいえません。

一方で、会社としての利益を上げるためにロボットを導入するという考え方もあります。すなわち、これまでは人手不足によって介護施設で受け入れ可能な高齢者が限られており、利益も生み出せなかったものが、ロボットを活用することによって高齢者のサポート可能な範囲が拡大。それにともなって受け入れ可能な人数も増え、利益率が向上するという考え方です。

たしかにロボットを導入する際には一時的に出費がかさんでしまうのですが、長期的な目線で考えると決して悪いこととは言い切れない側面もあります。

ロボットに介護をさせるという考え方

そもそも介護施設とは、さまざまな事情を抱えた高齢者を預かり、安心して暮らせる環境を提供するものです。そのため、介護施設には介護職員が常駐しており、人の目が行き届いているということが最大のポイントといえます。

しかし、これがロボットによる介護を行うとなると、少し事情が変わってきます。人の目が行き届かなくなることによって、なにか事故が起こるのではないかと考える人もいます。また、機械的に管理されるようで怖い感情を抱く人もいるでしょう。人が人の面倒を見るからこそ、安心して介護施設に預けることを決めた家族もいるはずです。

大前提として、ロボットが高齢者の面倒を一からみてくれる介護ロボットはまだ存在していません。しかし、将来的にそのようなロボットが登場したとき、なかには理解を得られない家族が出てくることも予想されます。

こればかりは個人の価値観にもよって変わってくるため一概には言い切れません。かつて折りたたみ式の携帯電話が主流だったものが、数年でスマートフォンに置き換わるようなイノベーションがロボットや介護現場の世界でも起こると介護ロボットの普及も実現に近付くかもしれません。

介護ロボットの普及にはさまざまな壁がある

今回は介護の現場で活躍する介護ロボット普及のための壁について、5つの事例を挙げてきました。もちろん、今回紹介した5つの事例以外にも、さまざまな障壁が出てくるかもしれません。なかには、すでにその壁に直面している介護施設もあることでしょう。

介護ロボットを本格的に普及させていくためには、ロボット開発にかかわる技術面での発展はもちろんですが、行政や介護現場への導入の取り組みなど、様々な角度からの検討・改善が求められています。また、私たち個人の意識改革や価値観の変化なども求められる時代になりつつあります。

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