「Palmi(パルミー)」とは、DMM.make ROBOTSで販売されている、二足歩行の小さな人間型ロボットです。
富士ソフトの開発した「PARLO」と似た外見をしているので、両者は兄弟のような存在にも見えます。
私たち日本人が真っ先にイメージするような外観のロボットである「Palmi」。今回はそんなPalmiの特徴や機能について詳しく紹介していきましょう。
Palmiはどんなロボット?
PARLOが高齢者施設で介護ロボットとして活躍が期待されているのに対し、Palmiは家庭で人間のパートナーとして暮らしていくことが想定されたロボットです。

まずはどんな機能があるのか、簡単にご紹介していきましょう。
二足歩行
Palmiには二足歩行の技術が搭載されており、40cmという小さな体長でありながらも自ら歩くことができます。
重心位置を把握してバランスを取りながら立ち続け、さらには2本の足で歩くという行為は非常に高度が技術を必要とされます。
1mを超えるような大きさのロボットであれば二足歩行が可能なロボットもありますが、40cmという小ささで二足歩行を可能にしているのはPalmiだけです。
また、当然のことながら障害物や周囲の危険を察知して歩くことが可能。悪路であってもバランスを取りながら歩行できる優秀な存在です。
自己診断機能
自己診断機能とはその名の通り、自身のなかで故障の可能性があったり、異常を検知したりした場合に知らせてくれる機能です。
Palmiには常に自己診断プログラムが起動しており、何らかのトラブルがあった場合に教えてくれます。
また、充電がなくなった場合も声に出して教えてくれたり、しばらく動作していないときには自動的に電源をオフにして節電する機能も搭載されています。
ロボットに共通する問題として大きいのが、実は体温です。ロボットの各パーツにはモーターが搭載されていますが、過酷な環境で動いていたり、長時間動き続けているとモーターの部分が発熱してしまいます。
あまりにも熱がこもってしまうと、正常に動作できなくなり故障の原因にもなってしまうもの。そこでPalmiには、過剰な熱がこもっている場合に動きを制御し、体内にこもった熱を放出するようなプログラムも内蔵されています。
Palmiのコミュニケーションの秘密
Palmiには手足はありますが、物を運んだりするようなことではなく、人間の言葉を認識して、コミュニケーションを取る能力に長けたロボットです。
手足はがある理由としては、人間と同じ姿をしていることで愛着を持ちやすかったり、感情表現を表すことに役立つためです。
それでは、Palmiがなぜ高度なコミュニケーションを可能にしているのか、その秘密に迫ってみましょう。
Dear Talk Engine
Palmiには、「Dear Talk Engine」という会話のための機能が備わっています。これは、相手が話したいこと、話題にしたいことを予測できるという機能です。しかも、会話だけでなく人の表情などから話題を推測することも可能。
人間同士の会話においても、笑顔で話しかけてきたら楽しい話題、悲しそうな顔だったら話を聞いて慰める、勇気づけるなど、私たちは無意識のうちに相手の態度や話の内容に合わせて受け答えをするようになっています。
人と人とがコミュニケーションを取るうえで、話している内容はもちろんですが相手の表情や声のトーンなども重要な要素になるものです。
それと同じことをPalmiでも再現することで、まるで人間と会話しているかのようにロボットとも「弾む会話」を実現できるようになっています。
Palmiのコミュニケーションの要となるDear Talk Engineには、ほかにも時刻や場所なども考慮したコミュニケーションパターンが用意されています。人間の頭脳や感情、心といったものに相当するのがDear Talk Engineであるといえるでしょう。
言葉のイントネーションと予測機能
他にも、Palmiは人間とのコミュニケーションに非常に力を入れていることが伺えます。
例えば、自然なイントネーションでの発音をすることで、いわゆる「ロボットっぽいしゃべり」をしないように工夫されています。Palmiにはコーパスベース音声合成方式とよばれる技術が採用されており、これは単語をひとつひとつ区切って発音するのではなく、一連の文章のように自然な流れで発音させるための技術です。
身近な例ではカーナビゲーションやATMの音声案内などに採用されていますが、Palmiではさらにこの技術を応用し、より自然に近い会話を実現させています。膨大な音声データベースの中から最適なイントネーションを瞬時に選択し、声に出すという手順で再生されます。
さらに、話題に合わせて言葉を予測することで、より正確に人の話したことを理解する機能があります。これは超音声認識能力とよばれ、人が話し終わる前に言葉を予測しながら次の会話につなげるという技術です。
これらの1つ1つの積み重ねによって、「機械と話している」という印象をなくし、Palmiが温かみのある「話し相手」になれるように配慮されているのです。
Palmiは今後どのように進化する?
人間との会話をスムーズにするというのは、未だにどのロボットでも完璧には至っていない、発展途上の分野でもあります。しかし、非常に早いスピードで進化しています。
Palmiの本業とする分野は人間とのコミュニケーションです。人間とのコミュニケーションが完璧に行えるようになれば、より高度なロボットが誕生してくることは明白です。
人間にとってもっとも基本的なコミュニケーションというのは、私たちは簡単に行っているように見えても実は非常に複雑な処理をしていることが分かるはずです。コミュニケーションを制するロボットこそが、新たな時代のロボットの覇権を握るといっても過言ではないかもしれません。
ロボットにとって重要なコミュニケーション能力の強化のために、PalmiではPalmi用のソフトを自分で開発できるような環境を整えています。これによって購入した時点で機能が止まってしまうのではなく、先を見据えてPaimiが進化できるようになっています。
スマートフォンやタブレット端末のように数年で買い換えるのではなく、ロボットは長い期間にわたって進化し続けていかなければなりません。そのような長いスパンで考えたとき、Palmiには開発用の環境が用意されているというのは大きなメリットといえるのではないでしょうか。
世界中のエンジニアによってさまざまな機能が実装されるようになり、今後さらに目を見張るような進化がPalmiに訪れるかもしれません。
まとめ
これまでロボットといえば無機質な存在というイメージが強かったと思います。しかし、Palmiの登場によってそのような従来のイメージからは脱却しつつあります。
より成熟したコミュニケーションを可能にし、さまざまな事情を抱えて孤独感を味わっている方にとっての救世主になるかもしれません。より高度な人工知能が搭載されれば、アニメーションや映画の世界でしか見られなかったロボットとの共存という未来は十分可能なものになっていくことでしょう。
Palmiは、そのような未来を感じさせてくれる存在になりつつあります。