少子高齢化社会となり、介護は避けて通ることのできない問題となりました。なかでも介護の負担は大きく、深刻な問題です。
そこで介護者の抱える精神的、肉体的負担を減らすために介護ロボットに期待が寄せられています。
この記事では介護ロボット「パロ」について紹介します。
介護ロボット パロってなに?
人は動物と触れ合うことで気持ちが安らいだり、楽しさを感じ、ストレスを軽減することができますが、生きている動物でセラピーを行うには多くの難題も同時に起こります。
動物からの感染症や、アレルギーの心配や、生き物ですから噛みついたりひっかいたりすることもあります。
動物を飼育する負担や管理の手間なども発生します。
アニマルセラピーは効果がある手法ですが、こうした理由から医療施設や介護施設での導入が困難でした。
これらの問題をクリアできるのが介護ロボット「パロ」です。
介護ロボット パロはセラピー用のロボットで、アザラシのぬいぐるみのような可愛らしいロボットです。
ふわふわの白い毛におおわれていてつぶらな黒目の優しい顔をした赤ちゃんアザラシで、主に心身をいやすセラピーの目的で使用します。
介護ロボット「パロ」の特徴
今でこそコミュニケーションロボットは一般的なものになりつつありますが、実はパロの場合は1993年から研究が開始された歴史の長いロボットです。
パロは人工知能や各種センサーの機能を有しており、人間の声に反応します。呼びかけることによって喜び、頭を撫でたり抱きかかえることによって喜びを表現したりすることもできます。
その姿はまるで人懐っこい動物そのもの。さまざまな研究機関において癒やし効果が認められており、認知症患者や脳機能障害をもった患者にとっても効果があるという研究結果も出ています。
パロはどんなことができるの?
パロはアニマルセラピーと同じような効果を与えることが出来るロボットとして認められており「世界でもっともセラピー効果のあるロボット」としてギネスブックにも認定されています。
パロと触れ合うことで自然と笑顔がこぼれたり、本物のペットのように話しかけたりなでたりする人が多くいます。
すると脳の刺激になり、認知症の患者では脳波や血流に改善が見られたり、深夜の徘徊や暴言、暴力と言った行動の減少につながる結果が出ています。
そもそもアニマルセラピーには「心理的効果」、「生理的効果」、「社会的効果」があるとされており、パロはこれらについての効果を網羅する役割を果たします。それぞれの役割についてもう少し詳しく見ていきましょう。
心理的効果
心理的効果とは、人を元気付ける効果です。患者に寄り添うことによって、精神的な疲労を軽減し癒やしの効果をもたらします。
高齢者の認知症患者は施設のなかでコミュニケーションを取りたがらないケースも多いです。コミュニケーションが生まれないと、気が滅入ってきて元気がなくなっていくというパターンに陥ることも少なくありません。
しかし、パロがいることによってコミュニケーションが生まれ、自然とポジティブな気持ちになって元気が出る効果が期待できます。
生理的効果
生理的効果とは一言で言うと「ストレスを軽減する効果」です。可愛らしい動物に触れ合うことによって多くの人は癒やされるものですが、これは同時にストレスを軽減する役割も果たしています。
ストレスが軽減されると血圧や脈拍も安定し、精神的効果だけではなくフィジカル的な面においても高い効果が得られると期待されます。
特に高齢者の場合は、ちょっとした体の変調によって容態が急変することも少なくありません。精神的に常に安定した状態を保つことは医療的な側面から考えても効果が大きいものです。
社会的効果
ペットを連れて公園などを散歩していると、「可愛いですね」「何歳ですか?」などといったコミュニケーションが生まれることがあります。
初対面の人同士であっても自然と会話が弾むのは、ペットという存在がいることによって話題作りのきっかけが生まれていることも大きいです。
高齢者が多く入居している施設においては、1日中テレビを見て過ごし、入居者同士でのコミュニケーションをほとんど取りたがらないケースも少なくありません。
しかし、パロがいることによって公園の散歩をしているときのように自然と会話が生まれ、コミュニケーションが図られるようになります。いわば話題作りの仲介役としてパロというロボットの存在意義があるといえます。
パロに導入事例はあるの?
アメリカでは食品医療品局で医療機器としての承認を受けており、認知症の高齢者や自閉症の子供たちのセラピーに採用されています。
デンマークでは実に8割の施設が公的に導入しており、世界的にも高く評価されています。
発表当初は個人ユーザーが大半を占めていた日本でも、介護福祉施設で導入されたり公的な助成が行われ、多くの医療施設で導入されています。
パロの導入をおすすめしたい人・施設
パロの導入が有効なケースはどのような場合なのでしょうか。いくつかおすすめのパターンを見ていきましょう。
動物のアレルギーをもった人
猫が好きなのに猫アレルギーで飼えないという人も多く存在しています。同様に、アニマルセラピーを導入したいのに、動物のアレルギーを抱えているため導入が難しい場合も多いものです。
パロの場合はそのようなアレルギーを心配する必要もなく、安心してアニマルセラピーを受けられる環境を作ることができます。
感染症のリスクがある人
特に高齢者や小さな子どもの場合、免疫力が弱く感染症にかかるリスクがあります。動物を介して何らかの感染症にかかるケースも多く、一旦感染症にかかってしまうと命の危険をも脅かす存在になってしまいます。
パロの場合であればそのようなリスクも少なく、安全な環境でアニマルセラピーを施すことができます。
噛みつきや引っかきの危険がある
噛みつきや引っかきによって傷が出来てしまうと、そこから何らかの感染症を引き起こす可能性もあるため危険です。
しかしパロは生き物ではないため、当然のことながら噛み付いたり引っ掻いたりといった危険がありません。
ペットの飼育ができない環境にある人
アニマルセラピーを導入できるのは、当然のことながらペットの飼育ができる環境にあることが大前提となります。
たとえばペットの飼育が禁止されているアパートやマンション、または一人暮らしでペットの飼育が難しい方などは、そもそもアニマルセラピーを受けることができません。
これは個人宅はもちろんですが、介護施設や医療施設においても十分考えられることです。入居者の特性を考慮したとき、安易にアニマルセラピーを導入できるケースばかりではないことは当然のことです。
しかし、パロの場合は、どのような事情がある場合においても手軽に導入できるメリットがあります。
まとめ
かわいらしいパロを目の前にすると、飼っていたペットや赤ちゃんを育てたときの記憶が刺激される人もいます。
こうして脳が活性化されることにより、認知症で入院する人々や自閉症の人々の情緒の安定に効果をもたらしてくれます。
介護者の負担や心労の軽減にも一役買ってくれると期待されており、世界中の施設において導入されていることを考えると、信頼性の高い介護ロボットといえるかもしれません。
医療機関や介護施設、または個人宅においてもぜひおすすめです。
可愛くて役に立つパロがますます欲しくなってしまいました(笑)
触ってみたいなぁ 値段的には個人には購入し難いけれど、職場に導入できたら良いなぁ‼️